<全体概況>
8月は新型コロナ感染症の爆発的拡大により「緊急事態宣言」および「まん延防止措置」の適用が全国的に拡大し、外食の営業規模はますます縮小した。本来ならば夏の最大の書き入れ時であるはずのお盆休みも期待できず、台風や前線の停滞による大雨の影響が追い打ちをかけ、全体売り上げは“新型コロナ元年”の前年をも下回った(対前年比91.4%)。業態別では、ファストフード洋風の堅調とは対照的に、営業時間短縮と酒類提供制限の影響をもろに受けたパブ・居酒屋業態は依然として深刻な状況である。

<業態別概況>
■ファストフード業態
・ファストフードは、洋風と持ち帰り米飯/回転寿司が牽引し全体の売り上げはかろうじて前年を上回った(101.0%)。
・「洋風」は、テイクアウト、ドライブスルー、デリバリーの需要増大で売り上げ106.0%。「和風」は、オリンピック、パラリンピックに合わせたテイクアウトキャンペーン等により売り上げは99.9%に踏みとどまった。「麺類」は、売り上げ88.4%。「持ち帰り米飯・回転ずし」は、回転寿司の持ち帰り需要が堅く売り上げは101.1%。「その他」は、「アイスクリーム」がお盆の時期に九州、西日本で続いた大雨が響き、売り上げ91.8%となった。

■ファミリーレストラン業態
・FRは、時短営業や酒類提供制限が続く中で本来の営業ができず、新たな販路としてテイクアウト・デリバリーに力を入れているが、売り上げは79.4%(一昨年比では59.2%)。「洋風」は、売り上げ81.0%(一昨年比56.6%)、「和風」は75.3%(一昨年比53.6%)。「中華」は、売り上げ87.1%(一昨年比79.9%)。「焼き肉」も、緊急事態宣言の対象地域では休業店が増え、売り上げ73.4%(一昨年比61.8%)となった。

■パブ・居酒屋業態
・緊急事態宣言・まん延防止措置の適用が全国に広がり、売り上げの主要を占める酒類が提供できないために休業せざるを得ない店が増え、パブ・居酒屋業態全体の売り上げは前年比31.2%、一昨年比ではわずか11.2%という低水準に終わった。
・「パブ・ビアホール」の売り上げは26.4%(一昨年比9.3%)、「居酒屋」は33.0%(一昨年比11.9%)であった。

■ディナーレストラン業態
・全国主要都市に適用された夜間営業の制限や、法人需要の低迷により、都市部が大きな影響を受け、売り上げは75.5%(一昨年比では50.2%)。

■喫茶業態
・時短営業地域の拡大と相次ぐ雨天の影響で売り上げは91.5%。郊外やショッピングセンター立地の店舗は比較的少ない減少幅である一方、在宅勤務の定着化で都市部店舗は苦しい状況が続く。