居酒屋「甘太郎」などを展開するコロワイドは、M&Aなどの結果、グループ全体でおよそ1000店、130業態に膨れ上がった業態と、約1万品にまで増えたメニューの整理に着手した。
 同社はこれまで、業態やメニューの開発、仕入れなどは各子会社や業態ごとに行ってきた。その結果、業態数やメニュー数がコントロールできないほどに増え、個々の商品力が低下。客離れや収益悪化の大きな要因になっていた。そこで2006年、グループの食材加工会社であるコロワイドCKをコロワイドMD(横浜市、井上真社長)に改組し、同社が中心となって業態の整理・統合と各業態のメニュー開発をスタート。10月以降の需要期に向け、今年4月下旬から順次、各店に新たなメニューを導入し始めた。
 主力の居酒屋は、客単価別に「2000~2500円」「2500~3000円」「3000~4000円」「3000~4000円」の4クラス10業態に整理する。「2000~2500円」クラスは、同社にとっては初めての分野。これまで最も客単価が低かったのは「NIJYU-MARU」の2800円だったが、「単価が低いほど店数は増やせる。日本一を目指すには、この価格帯でないと多店化が図れない」(井上社長)として、今回初めて2000~2500円クラスを重点業態と位置づけた。
 このクラスに入るのは、ノンカテゴリーと焼き鳥の2業態。前者は「NIJYU-MARU」のうち客単価の低い店や「ぽてとサーカス」など。ピッツァから揚げ物、魚介類、サラダと品揃えを豊富にして間口を広げるとともに、「考えなくても注文できる値付け」(井上社長)を意識し、料理は1品280円、380円、480円と、すべて500円以下に抑える。
 「2500~3000円」クラスは、ノンジャンルと和食の2業態。ノンジャンルの方には、「NIJYU-MARU」の高客単価の店舗や「TAPA」が入り、現在の両店の売れ筋メニューを中心に据える。1品当たりの価格は高いもので680円。「2000~2500円」クラスと違い、焼くのに手間がかかる焼き鳥メニューがあるのが特徴だ。もう一方の和食業態に該当するのは「いろはにほへと」。同店はもとも気軽に入れるのが売り物だったが、メニュー改訂を重ねるうちに客単価が3800円まで上がっていたため、当初の価格帯に戻す。
 店数が最も多いのはこれら2クラス。井上社長は、「コロワイドは小商圏に弱いが、ゆくゆくは関東エリアの各駅にどちらかのクラスの店が1軒はあるところまでもっていきたい」と話す。
 「3000~4000円」クラスに入るのは、肉、魚、串焼きとそば、洋風ダイニングの4業態で、肉のカテゴリーに入るのは「甘太郎」。同業態はもともと焼き肉が売れ筋だったが、今後は焼き肉やしゃぶしゃぶをメインに、より明確に肉のイメージを打ち出す。「従来の『甘太郎』は、そのときそのときに売れそうなメニューを導入してきたため、チーズフォンデュなどメニューの幅が広がり過ぎていた。だが、客単価が3000円を超える店では、専門性が見えないとお客を引き付けられない」(井上社長)と考えた結果だ。
 また、魚業態に入るのは、回転寿司の「海へ」。刺し身をメインに据え、本日の刺し身を中心とする黒板メニュー20品を提供していく。「4000円以上」クラスには、北海道をテーマとした業態と、高級和食が入る。前者の「北海道」では、刺し身とカニをメインに打ち出すとともに、北海道らしいスケールの大きさを強調するため1品当たりのボリュームを増やす。
 同社ではまず居酒屋の業態整理と新メニュー導入を行い、その後さらに、レストランやファストフード業態の整理に着手。レストランはステーキ・焼き肉、和食、寿司、とんかつなどの8業態、ファストフードはそば、ラーメン、天ぷらなどに整理していく。2007年の秋までに、全体で、現状の4分の1の約30業態に絞り込む予定だ。 これにより業態ごとの住み分けを明確にするだけでなく、使用する食材の絞り込みも行い、仕入れコストの削減を目指す。他社製品に頼っていたソースやスープ類の自社生産も進める予定。店での仕込み作業を軽減し、その分、接客サービスに力を入れる。
 同社の2007年3月期の既存店売上高は前期比3.0%減、客数も同3.5%減と低迷しており、「一連の改革によって、少なくとも売り上げを前年と同水準にまでもっていきたい」(井上社長)という。
 艦隊経営などという言葉が一時期はやりましたが・・、私個人としてはタイタニックのようにならなければいいと思いますが・・・・。