浜松市中区富塚町にあるカレー専門店『Spice Cafe Bija(ビージャ)』。このお店には、3つのコンセプトがある。一つ目はオーガニックの食材を使い、健康な「食」を提供する。二つ目は地産地消としてローカルフード(地元の食材)を使用する。そして三つ目はフェアトレード商品を扱うことによって発展途上国の生活支援を行うこと。カレー専門店だが、世界の“食”や“環境”の問題を実感させてくれるお店でもある。
 店の代表である清川孝男さんは、大学時代から、世界の食に関する問題に取り組んでいたという。発展途上国では食糧難で栄養失調に苦しむ人が多くいる一方、先進国では過食による肥満が社会問題となっている。その解決方法として清川さんが思いついたのが自分の好物でもある「カレー」。貧困に苦しむ国の多くがカレーの原料となるスパイスの生産国だということに着目し、健康食として野菜を効果的にとれるカレーを日本で提供し、そこで発展途上国のスパイスを使うことによって経済支援に繋げていこうと考えた。そして大学卒業後、その考えを実行するべく『Spice Cafe Bija』をオープンさせたそうだ。
 店内に入るとスパイスのやわらかな香りが漂っていた。入り口付近には、メニューにも使われているフェアトレードの食材や、共用品などが販売されている。ここで使われているお皿にはフチに返しがついていてカレーを残さず食べられるよう工夫されている。お皿は壊れた食器を再生して作られた「Re食器」や、浜松の障害者施設で作られている食器も使用されている。これはひとつひとつが呼吸しているような印象をもつ、素朴なお皿だ。ストローはライ麦の真ん中をくり抜いたもの。そしてお箸もエコを考え、割り箸ではなくフォークやスプーンのように何度も使えるお箸を置くなど、体と地球によいものを取り揃えている。
 食材は体に安心安全なオーガニックのものを選び、煮込むことによって野菜をたっぷりとることができる。また油をほとんど使っていないので低カロリーでヘルシーだ。清川さんは、「ビージャ」のカレーを「自分(の体)にもよい、そして地域にもよい、発展途上国にもよい」健康食だと話す。ご飯は玄米に黒麦やライ麦の押し麦を混ぜて炊いている。噛めば噛むほど玄米の甘みがして、マイルドな味付けのカレーとよく合う。ランチにはサラダバーとスープバーがつく。新鮮な旬の野菜のサラダバーと具だくさんのスープは、リピーターにも人気だ。またフェアトレード商品のカカオをベースに、卵やバターを使用せずに、しっとりとした食感に焼き上げたガトーショコラは甘さ控えめで人気。 いつもとひと味違うカレーを食べに、そして日ごろの疲れた体と心を癒しに、足を運んでみてはいかが。