処理には塩素系消毒薬が有効

 ノロウイルスは冬場の感染力が極めて強く子供や高齢者は特に注意が必要だ。どう予防すればいいのか。

 Q ノロウイルスが猛威を振るっているが

 A ノロウイルスは感染力が極めて強い病原体で、冬場(12~1月)を中心に多発する感染性胃腸炎の原因の多くを占める。今年は特に人間の免疫をすり抜けやすい「新種」の出現が確認されており、世界的に流行が広がっている。過去10年では平成18年の大流行に次いで患者数が多い。

 Q どんな症状?

 A 感染して1~2日後に発症する。吐き気や嘔吐(おうと)、激しい下痢や腹痛が襲う。健康な成人なら2~3日で回復するが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者では重症化の恐れがある。吐いた物が気道に詰まって窒息する危険もある。

 Q 感染経路は?

 A カキなどの二枚貝に潜んでいることが多く、加熱処理が必要。また感染者の吐いた物や下痢の便などに触れた手からウイルスが口に入って二次感染するケースが多い。ウイルスが乾燥すると空中を漂い、口に入ることもある。

 Q どう予防すればいいの?

 A ワクチンなどの予防法がなく、ウイルスを近づけないことが重要。トイレの後や食事の前に流水とせっけんで手首までしっかり手を洗う。生食を控え、調理器具は85度以上の熱湯で1分以上加熱するとよい。

 Q 吐いた物や便を処理するときの注意点は?

 A 使い捨て手袋とマスクを着用し、塩素系消毒薬とペーパータオルを使ってぬぐい取る。アルコール消毒はあまり効果がない。ペーパータオルなどはポリ袋に密封して捨てる。

 Q 塩素系消毒薬って?

 A 家庭用の塩素系漂白剤を薄めて作ることができる。水3リットルに対し、10ミリリットルが目安。トイレのドアノブや水洗レバーなどを拭いたり、カーテンや衣類などの消毒にも使える。腐食性があるため、金属の消毒後には薬剤を拭き取ったほうがいい。

 Q 発症時の注意点は?

 A 脱水症状を防ぐため、水分補給を十分行う。水も飲めないようなときは医療機関で治療する。ウイルスの排出を妨げる下痢止め薬は回復を遅らせることもあり注意が必要だ。