牛丼チェーンなどを展開する吉野家ディー・アンド・シーは、民事再生手続を申し立てた「ラーメン一番本部」(大阪市福島区、加藤博一社長)と事業譲渡契約を締結。事業の主要な部分を譲り受け、ラーメン事業へ進出する。
 「ラーメン一番本部」(大阪市福島区、加藤博一社長)は180円(税込189円)の低価格を売り物にしたラーメンチェーン「びっくりラーメン」を運営。関西を中心にFCを含め189店舗を展開していたが、急激な出店にともなう人手不足、競争激化による売り上げ低迷などにより経営収支が悪化。8月30日に民事再生手続の申し立てを行った。吉野家ディー・アンド・シーによる支援は、民事再生手続きの中で、裁判所による事業譲渡許可を条件にラーメン一番本部が経営する店舗(一部の店舗を除く)と、同社の100%子会社で麺、スープ、その他食材の製造部門である「キッチンカトー」が所有する工場などの事業を譲り受けるもの。
 吉野家ディー・アンド・シーにとっては、ラーメン事業に関わるノウハウを入手でき、事業拡大のための重要な経営資源となる。再生支援の形でラーメン一番本部の経営体制を強化し、事業の成長、企業価値の拡大を図る。また同時に、「元気七輪焼肉牛繁」の屋号で関東地方中心に直営およびFC85店舗を展開する牛繁ドリームシステム(東京都新宿区、高田昌一社長)への出資割合を33.34%にする株式取得を9月末までに行うことを、8月30日開催の取締役会で議決。すでに10%超の出資関係を持つ同社を持分法適用関連会社とすることを決めた。
吉野家ディー・アンド・シーはこれまでにも株式を取得する形で、持ち帰り寿司「京樽」、和菓子店「新杵」、たい焼き・たこ焼きファーストフード店「一口茶屋」を展開する「ピーターパンコモコ」、セルフうどんの「はなまる」、中華・洋食デリバリー「上海エクスプレス」などを子会社化して、業務拡大を図ってきた。
 最近は外食産業もM&Aが頻繁に行われています。