8月4日 産経新聞より抜粋
 ガソリン価格高騰による外出控えや相次ぐ値上げによる節約志向で苦境に立たされている外食産業が、朝食や午後のティータイムなど、オフピークの時間帯を狙ったメニューを強化している。客足が遠のく時間帯を少しでもピーク時に近づけることで、ランチやディナータイムの売り上げ減少をカバーしたい考えだ。
 「一日を通して利用できる店を」-。ロイヤルホールディングスは1日、傘下のピザ専門店「シェーキーズ」でサラダやデザート、ドリンクの品ぞろえを強化した新店舗「Cafe Shakey,s(カフェ シェーキーズ)外苑信濃町」を東京都内にオープンした。昼食と夕食時以外にも“ピザ以外”でお客を呼び込みたい考えだ。同社では平成25年までに15店舗まで拡大する。
 日本ケンタッキー・フライド・チキンは、首都圏や大阪の51店で「KFC a.m.」と銘打った朝食メニューをスタート。半熟タマゴのサンドイッチなど、チキン以外のメニューも提供する。都内20店では午後2~4時を「カフェタイム」に設定、コーヒーの種類を増やしたほか、デザートとドリンクのセットメニューなどを出している。
 すかいらーくも中華料理レストラン「バーミヤン」で6月から朝食メニューを始めた。トーストとハムエッグなど中華以外も取りそろえた。開始前に試験的に実施した郊外店では主婦やシニア層を中心に朝食時間帯で客数が前年比40%程度増える効果があった。
 同社の谷真・常務執行役員は「夕食帯の客単価は1000円を超えるが朝食帯は300円前後。定期的に通える金額」と話しており、割安感で固定客を取り込みたい考え。
 ほかにも、日本マクドナルドは7月18日から、メロンパンなどの「マックベーカリー」を投入し、朝食やティータイム用のメニューを充実させた。
 日本フードサービス協会によると、平成20年上半期の外食産業の既存店売上高は、前年同期比1・2%減と上期としては2年ぶりに前年を下回った。消費者の外食離れに加えて、原材料や輸送費の上昇が収益を圧迫、ケンタッキーの渡辺正夫社長は「原材料高はしばらく続く」と危機感を募らせる。
 業界を取り巻く環境が厳しさを増すなか、カギはオフピーク時の集客にあるとみて、各社が知恵と工夫を凝らしている。