浜松市北区の三方原地域で収穫されたジャガイモを使った「三方原のポテトチップス」が人気を集めている。収穫時期の6~9月にだけ販売されることなどから「幻のポテトチップス」と呼ぶ人も。静岡空港の売店でも売られ、販売元では全国区を目指している。
 ポテトチップスを販売しているのは、静岡県西部の酒販店などでつくる「遠州夢倶楽部」(内沢繁会長)。1995年頃に発足してから、酒販売の枠を越え、地元食材を使った食品を開発、販売している。
 これまで、浜松市特産の「浜納豆」を使ったせんべい、同市の老舗カレー店のレトルトカレーなど約20種類の商品を送り出した。一番のヒット商品が97年発売の「三方原のポテトチップス」だ。
 同倶楽部によると、97年の出荷量は5000袋ほどだったが、「ジャガイモの味が残っている」と口コミで評判が広がり、2008年は20万袋以上を売り上げた。県外から取り寄せたり、まとめ買いしたりする人もいるという。
 味の秘訣(ひけつ)は「ジャガイモの新鮮さを閉じこめたこと」(内沢会長)。三方原地区の農家30~40戸から、とれたてのジャガイモを集め、その日のうちに同県吉田町の工場で加工し袋詰めする。味付けも機械だけに頼らず、人の手で塩の量を調整する。
 販売は同倶楽部に加盟する29店など。販売の時期と場所が限られるうえ、原料を三方原産に限定していることから、収穫量が減ると生産も減って品切れになることがある。今では、地元でもなかなか手に入らない貴重な商品として知られるようになった。今年も6月から店頭に並び、4日に開港した静岡空港内の売店でも販売している。今年は30万袋の売り上げを目標にしている。
 内沢会長は「地場産品から大きな夢をもらった。地元の人気も大事にしながら全国ブランドに育てたい」と意気込んでいる。1袋(145グラム入り)320円。問い合わせは同倶楽部事務局(鈴代商店、053・523・1025)へ。