政府が食料自給率を上げるため、コメの消費拡大に取り組むなか、米粒からパンを作ることができるホームベーカリー(家庭用パン焼き器)が登場する。米(こめ)粉(こ)でパンを作る機能はこれまでもあったが、米粒からの製パン機能は世界初。8年連続で伸び続けるホームベーカリー市場だが、メーカー各社の間では“コメ”が開発のキーワードとなりつつある。
 三洋電機が10月8日に発売するホームベーカリーの新製品「GOPAN(ゴパン)」は、米粒と水を投入すると、本体内でモーターを回転させてペースト状にし、砂糖やドライイーストなどを加えてパンを作る仕組み。米約1合半(220グラム)で1斤のパンが約4時間でできる。市場想定価格は5万円前後。
 13日会見した佐野精一郎社長は「新製品の販売では政府との連携を強化し、自給率向上に寄与したい。来年度は中国などアジアでも投入し、20万台規模の事業に育てる」と述べた。
 ホームベーカリーで国内シェアトップのパナソニックは昨年から米粉100%のパンを焼ける機能を搭載した機種を展開。東芝や象印マホービンなども相次ぎ米粉パンコースを組み込んだ新機種を発売している。
 ただ、米粉は生産コストが高く、流通網の少なさからあまり販売されていないなどの問題があり、「主食の米なら流通ルートが確立されている」と佐野社長は強調。新製品では、わざわざ米粉を買ってくる必要がなく、「家にあるコメを利用できる」と手軽さをアピールする。