都会の喧騒を今日も生き抜くビジネスマン。彼らの強い味方と言えば、スタミナたっぷりの「ラーメン」だ。そんなラーメンを、出社前にすする“朝ラー”が新たなトレンドとなっているのを、ご存知だろうか?
 手軽で種類も豊富、安ければワンコイン、高くても漱石1枚で食べられるラーメン。今や日本のソウルフードといっても過言ではない。しかし、さすがに「朝からラーメン」となると「腹持ちはよいかもしれないけど……」と及び腰になる方も多いのでは?
 ところがこの“朝ラー”は、思った以上に支持率が高い。有名ラーメン店が開店時間を早め、出勤前のビジネスマンを取り込もうとしていることからも、“朝ラー”人口の増加ぶりがうかがえる。
 たとえば、「ヒノマル食堂 つけ麺なおじ」(新橋)は、朝6時に開店。コクのある醤油ラーメンに親子丼(小)が付いた「朝ラーメンセット」(650円)が人気だ。
「六厘舎 TOKYO」(丸の内)では、通常のつけ汁よりあっさりしたスープに魚介風味を加えた「朝つけ」(580円)を目当てに、朝から行列ができるほどだという。
 昨今の健康志向の高まりをうけ、女性をターゲットにしたラーメン店やヘルシーメニューが増えてきた。今流行りの“朝ラー”は、これまでラーメン文化の土台を支えてきた男性諸氏が抱く心の反動から生まれたものかもしれない。
 そもそも朝に営業しているラーメン店は、深夜勤務や夜通し遊んで帰宅する人たちのために“朝まで”やっていたお店が多かった。今回の“朝ラー”店舗は文字通り“朝から”やっているわけで、同じ時間帯に営業をしていたとしても、微妙に趣が異なる。
 好きなものは好き。朝食だろうが飲んだシメだろうが、「食べたいものを食べたいときに食べたい」ということか。
 だが現実的に考えて、実はビジネスマンにとって朝から700円近い出費は痛い。腹持ちがよいからと昼ごはんを抜く計画かもしれないが、健康のことを考えれば、必ずしも得策とは言えないだろう。
 以前の「これが気になる!」で採り上げた「朝カレー」でも述べたが、朝ごはんのとり方は人によって様々だ。仕事も生活のリズムも異なり、日常的に自宅で朝食をとることが難しいため、「体に悪いとわかっているけど、朝ごはんを食べない」という人も少なくないだろう。
 それでも、できるだけ規則正しい時間に栄養バランスがよいものを食べることは、意識すべきだ。1日の始まりとなる朝食については、なおさらではないか。“朝ラー”は、朝ごはんブームを盛り上げるきっかけになるかもしれない。
 近い将来、「目覚めてすぐに家で食事をとる“朝ごはん”が若者の間で大流行!」などという記事を書くことになったら……とても悲しい。そして、それが必ずしも憶測とは言えない気がするから、怖い。
 藤枝なんかには昔から朝ラーメンの文化があるようですねぇ。