10月13日付の日経MJ5面の総合小売り面トップ記事で、食品スーパーのマルエツがコンビニエンスストア並みの超小型店舗を展開するというニュースを掲載しました。店舗面積は150平方メートル前後を想定、第1号となる実験店は10月末、東京・千代田区の「am/pm」跡地に開店するそうです。
 取材した記者にコンビニとの違いを聞いたところ、「取扱品目が多い」「陳列棚が高い」などを挙げてくれました。ただ、店の面積に加え、コンビニ跡に出店するということもあって、お客の目には「生鮮品の多いコンビニ」と映るのではないでしょうか。
 一方、10月18日付MJ5面で紹介した「イトーヨーカドー食品館阿佐谷店」はデパ地下や高級スーパーを思わせる店構えです。
 百貨店、スーパー、コンビニ、専門店…。業態・客層・品ぞろえ・調達ルートなどに応じて我々は小売店を区別してみてきました。しかし、今やこうした考え方を変えなければいけない時代を迎えているようです。
 銀座松坂屋にはファストファッションの「フォーエバー21」に続き家電量販店のラオックスが出店することが決まりました。その家電量販店は今や食料品・飲料・布団・スポーツ用品・宝飾品なども扱い“百貨店”の様相です。コンビニのなかには店内調理を強化する動きもあり、外食産業と競合する可能性すらあります。
 大都市圏への人口集中、少子高齢化の進行、止まらぬ低価格志向などを背景に小売りの境界はますます溶けていくのではないでしょうか。コンビニとドラッグストアの一体型店舗にみられるように、規制緩和が融合に向けて背中を押すケースも増えてくるでしょう。
 カオス(混沌)が新たな商機を見いだす原動力を生み出す時代になるかもしれません。                (日経MJ 船木 隆氏)より