<全体概況>
 5月の休祝日数は昨年より少なく、また東日本を中心に上旬・下旬には雷雨や竜巻など荒れ模様の天気となり、全国的にも気温が変動した。その中で、FF業態を中心に積極的な低価格帯メニューの投入や販促キャンペーン等が行われ、業界全体の客数は前年比100.9%と前年をわずかに上回ったが、客単価は前年の97.6%、売上高は98.5%に留まった。円高、株安、電力料金値上げ、消費税増税の動きなど経済の先行きへの不安からか、総じて消費ムードは後退し、震災後の外食需要の回復基調も一段落した感がある。

<業態別概況>
■ファーストフード業態
・ 全体売上高は前年を3.2ポイント下回った。業種別では、洋風は低価格帯メニューの充実や値ごろ感のある販促キャンペーン等により、客数は103.8%と前年を上回ったものの、休日数の減少などで売上は前年比93.4%と伸び悩んだ。
・ 和風は新メニューの投入でメニューにバリエーションをもたせるなどで、値引きキャンペーンを実施した前年よりも客単価は上がったが、客数は前年を下回り、売上は前年比97.5%となった。麺類の売上は前年比111.5%と引き続き好調を維持。その他では、アイスクリームが東日本の天候不順や休日数減少の影響を強く受け、売上は前年比93.0%となり、持ち帰り米飯・回転寿司も99.1%に留まった。

■ファミリーレストラン業態
全体売上高は前年比100.2%と前年並みを確保した。洋風では、モーニングや深夜の営業が好調な店もあったが、休日数減少等の影響で売上は前年比99.2%となった。焼き肉は前年比102.6%だが、O-111等の食中毒事故で売上が大幅ダウンした昨年よりも少し良くなったにすぎない。

■パブ・居酒屋業態
業態全体では前年並みの客数を確保したが、今年3月以降続いていた震災後の反動需要が一段落し、売上高は99.2%と前年に及ばなかった。パブ・ビヤホールは前年比110.0%と依然好調だが、居酒屋は客単価、客数ともに下降し、売上は97.7%となった。

■ディナーレストラン業態
高単価業態だが、売上高は昨年9月以来9ヵ月連続して前年を上回っている。立地によってばらつきがあるものの、母の日キャンペーンや値ごろ感のあるランチセットなど、各社の工夫が結実したといえる。

■喫茶業態
元来、休日数に比較的影響を受けない業態であるうえ、5月は西日本で雨天日が少なかったこともあり、客数が伸び、売上は前年比101.6%と堅調に推移した。

(日本フードサービス協会調べ)