GMS(総合スーパー)など大手小売業の値下げ競争が激化して
きました。昨年、原材料価格の上昇によって値上げした商品のなか
には、値上げ前の価格をすでに下回っている商品も出てきました。
 景気後退でデフレ懸念が広がるなか、値下げ競争は今後さらに
激しさを増すとみられます。川下からの強烈な値下げ圧力は、食品
や日用品、衣料品のメーカー・卸の収益を圧迫することになる
でしょう。
 メーカー、卸の対応策は2つに分かれるでしょう。
 ひとつは、大手小売業の値下げ路線に協調し、シェアを確保して
いく戦略。例えばスーパーのPB(プライベートブランド)開発に
積極的に参加するというのも手です。
 もうひとつは付加価値を高め、小売りの安売り競争に巻き込まれ
ない商品を開発していく戦略です。
 山崎製パンは4月1日から、主食としては非常に珍しい特保の
食パンを発売します。体内で消化されにくい炭水化物を含み、食後
の血糖値の上昇を抑える効果が期待できるそうです。
 糖尿病を気にする人も安心して食べられるというわけで、希望
小売価格はなんと2枚入りで105円。食パンとしては異例の価格
です。ドラッグストアでも売るなど、販売チャネル戦略でも挑戦的
な試みを行うようです。
 強烈なデフレ旋風が吹き荒れるなかで、山崎製パンのこうした
商品がどういう売れ行きをみせるか注目したいところです。
 「健康」「環境」「安心安全」といった機能が加わった商品は
多少高くても買うというのが今の消費者です。メーカーとしては、
そうした消費者を味方につけ、なんとかブランドイメージを守り
たいところでしょう。