<全体概況>
  日銀が6月14日の金融政策決定会合で、国内景気判断を3ヵ月ぶりに上方修正したことを受け、政府も6月の月例経済報告を上方修正するなど、震災の打撃から日本経済の持ち直し傾向が顕著となっている。外食産業の5月度売上状況は、対前年比98.0%と前月の97.2%からさらに回復した。土曜日が1日少なかったことや、天候不順(東京の雨天日数の昨年比:+5日増、大阪同:+4日増)などのマイナス要因等による一部業態の不振もあり結果として回復基調が鈍ったようにも見えるが、全般的には震災の影響からはほぼ回復しつつあるとみられる。

<業態別概況>
■ファーストフード業態
・ 売上99.5%、客数も99.9%まで回復し、ほぼ前年並みとなった。業種別売上では、麺類、和風、その他業態がそれぞれ107.9%、103.8%、105%と前年を上回り、震災前の状況に戻りつつある。一方、前月96.1%だった持ち帰り米飯/回転寿司は、業態間の競争激化等により91.5%と低下した。

■ファミリーレストラン業態
・ 客数96.6%、客単価100%で、売上96.6%と前月より低下した。特に、腸管出血性大腸菌O-111による食中毒事故の影響を受けた焼肉は、売上前年比88.8%、客数87.9%と、前月のそれぞれ94.9%、91.8%から大幅に低下した。前月101.2%と好調だった中華売上も99.3%と低下した 。

■パブ・居酒屋業態
・ この業態は未だ宴会自粛や夜間の外出客減少による宴会・予約需要減少の影響を受けているが、売上前年比は95.1%と、前月の89.0%よりは大幅に回復基調にある。一方、パブ・ビアホールは天候不順の影響等もあり、売上前年比93.6%と大幅減が続いている。

■ディナーレストラン業態
・ 客数前年比97.4%、客単価前年比101.1%、売上前年比98.5%と前月の97.5%からさらに回復し、天候要因を除けばほぼ前年並みとなった。

■喫茶業態
・ 比較的都心立地が多いため、都心の回復遅れの影響を受けていたが、客単価100.7%、客数97.3%、売上高は前月の95.6%から98%とほぼ回復した。